老人と海
あなたは格好悪い人が好きだよね、と宇宙人に言われて、ものすごく腑に落ちている
確かにそうだ、好きだった人や好きな人が道に躓いたりした瞬間なんかをはっきりと記憶している
男の人はみんな格好つけたがる ただ格好がついていない とてもみっともない 愛おしい
当たり前だけどそういうところに人間臭さというか、その人の魅力を感じる
文豪の経歴や人生について調べるのがものすごく好きで、太宰治、中原中也、谷崎潤一郎、ドストエフスキー、ランボーとヴェルレーヌあたりは本当にみっともない めちゃくちゃ好き
大抵酒や薬や女や男に溺れてどうしようもなくなっている すぐ死ぬ
ドストエフスキーの嫁が「彼はどん底に落ちないと小説を書かないのでそのままでいい」というようなことを言っていて真っ当だなと思った 私も同じように思うと思う
あんなに尖っていた彼が順当におじさんになっていた 白髪を染めるのを諦めていた
ただ相変わらず無駄に指差し確認をしたりしていた 可愛らしい靴下を履いていた
(ここにもっと込み入った話を書いていたが消すことにする やっぱり記憶を自分のものだけにしていたい)
愛おしい、優しい言葉よりも手を握っていてくれたことよりもずっと愛おしい
私が死んだら骨を果物の木の根元に埋めて欲しいというのは彼の受け売りだったが、彼は昔はそんなことを言っていたけれど、と話した(その後どうして欲しいと言ったのかは覚えていない)
私もいつか自分の葬式をして欲しいと思う日が来るのだろうか
今度は私がめちゃくちゃに遅刻してやろう