永訣の朝

朝から祖母にこっぴどく叱られて泣いた


反論をしても仕方がないことくらい分かっているので黙って泣いた

 


昔から大人に期待されて生きてきた

学校には毎日通えなかったし宿題も出せなかったが家族も教員も口を揃えて「あなたは頭が良いんだから、やれば出来るんだからしっかりしなさい」と言った

そんなことは自分が一番に分かっている ただ出来るとしても、そこまでが出来なかったのだ

 


学校に行けない理由を大人に問われたことは多分、一度もない

分かって欲しい訳ではない、というか分かってもらえるとは思っていなかったから私から話すことはなかったのだが、今も同じような状況にあって気分が悪い

 


ある夏休みの終わり頃、4日ほど、家出をしたことがある

家にいるのが嫌になったので出て行った訳だが、やっぱりさみしくなって帰った

抱き締めてくれると思っていた 心配と安堵を態度に出してくれると思っていた 彼らは全員が、ただただ怒った 分かる、分かるんだけど、

その時から目に映る何もかもが怖くなった 夏休みが明けても一週間は登校出来なかった 教室にいると涙が勝手に出てきて過呼吸になった バスに乗るとお腹が痛くなった


その時に私に真っ直ぐに対等にいてくれたのは彼だけだった

彼は詳しいことを何も聞かないでいてくれた 家出した時に行くべき場所を教えてくれた 働いて早く家を出なさい、と言ってくれた

 


さすがに私も多少は大人になったので、誰かを酷く憎んだり何も出来ない、と諦めたりはしていない、支えてくれている人がたくさんいる、怒らず、丁寧に生きよう、真っ暗じゃないし、私は頭のいい子だ