まだ死んでないよ

愛読している漫画の最新刊がやっと出た

とても複雑な話だから、前巻を丁寧に読み返して、同じシーンでまた泣きそうになって、そこで友人から「着いたよ」と連絡が来た


お互いにかなり疲弊していたから、話したいと思っていても少し気を遣ってしまっていたのだけれど彼女から「明日会える?」と言ってくれて嬉しかった

ここ数ヶ月でいくつもの約束を断ったみたいだが、私には会ってくれていたじゃない、それだけで凄く嬉しい 会えるなら会おう


お酒を飲んで、コーヒーを飲んで、煙草を買って、カラオケに行って朝まで歌った

いつもよりお互いに丁寧に選曲をして、それを丁寧に聴いた 切実で真っ直ぐな歌が、私たちに寄り添ってくれる歌がこんなにもたくさんあるんだ、


カラオケを出てコンビニで親子丼を買って食べて、駅の近くの歩道橋にしゃがみこんでまた話した

私たち、こんなにいい子なのにね、人に甘えたり当たったりできる人はいいよね、私たちいなくなったらどうするのよ、そうなってからじゃ遅いよ、今すぐ泣いてみせてよ、ありがとうって、ねえ

そんなことをずっと言って大声で笑った 笑えば笑うほど泣きそうになった

 


どうする?これから、どう生きたらいいのかな、悲しみは消えない、体は言うことを聞かない、どうしようね、歌うしかないね、忘れてた、そうだ、歌うしかないんだ、私には

 


帰って、少し迷ったが、最新刊を読んだ

瀕死の人間を完治させる能力を持つ女の子の話だ


「君は正しすぎる」


そう言い残して彼女の大切な人は自殺した

そうだよね、良かれと思って一生懸命やってきたのにね、そうすることしか出来なかったのにね、

 


彼女を救ったのは「君の能力なんて欲しくない、その優しさだよ、その悲しみが必要なんだよ」という言葉だった

 


この優しさや悲しみが、いつか、私を救ってくれるのだろうか