嫉妬されるべき人生
今なら彼に好きだと言える気がする
どうせ何もかもいつか消えてしまう、彼も、私も、いずれ死ぬ、彼や私を知る人もいなくなる、思想も、感情も、全部なくなる
それなら、今生きている人に、同じ世界にいる人に、伝えるべきなんじゃないか
生きているうちに、会おうと思えば会えるうちに、会いたいと、好きだと言ってもいいんじゃないか
綺麗じゃなくていい、結ばれなくても、少しでも私や彼にとって驚きや変化が起こればいい、全部消えてしまうのだから
確かにこれから先色んな人に出会ってきっと私は変わっていって、彼以上に他の誰かに恋焦がれることがあるかもしれない
それでも、私に目標を抱かせたのは彼で、今日までの数年間私を生かしてきたのは彼だ
今日その日を死なずにいることだけに必死だった私に、明日のこと、次の季節のこと、これからもっと歳をとること、将来への道を照らし、その存在を教えてくれたのは彼だ
このときめきや切なさが、確かに私に「前を向け、歩き続けろ」と言っている
報われなくても、綺麗じゃなくても、彼に出会い、彼に恋をしたことは、私の人生において最大の成功だと断言出来る
ほんの小さな選択も、後悔も、勇気も、間違いじゃなかった
忘れたくない、ずっと好きでいたい、今日、私を私たらしめるのは彼だ、みっともなくても、情けなくても、生きてやる、もう何も後悔はしない