レモンケーキ

私を振った男が一人だけいた


たくさんの約束や解決できていない思いを残して突然消えた


私は彼に完全に依存していた

自分の悲しみややり切れなさを彼に全部押し付けて、問うて、解決させようとした


彼は彼なりに私を救おうとしてくれた

世界はこういうものだから、周りも鬼じゃないから、あなたは大丈夫だから、


彼の腕の中で泣く度にきっと彼の心は乾いていったんだと思う

 


何年も経った今でも不意に彼のにおいを思い出す

香りが思い起こさせる記憶は残酷で無差別で暴力だ

ぶん殴られたみたいな気分で泣いたりする


当時から今まで何度もあの頃に戻って、どうしたら上手くいったのか考える

多分今また彼に出会っても同じように依存して振られるんだと思う それでいい

 

 

最近気づいたのだが当時私たちは所謂、やっていない

何度も試したが、痛くて入らなかった

 

 

人間は、肉体ですか、心ですか